優香さんは
俺に美空が病気で余命が3ヶ月だったこと。


そして、
「ドナーが見つかって
あの子も手術を決めてくれて
東京で手術受けることになったの。」


って泣きながら話してくれた。


俺に話して欲しかった。
正直、そう思った。


「あの子もね葵くんに
話す機会を伺ってたみたい。
でも、結局話せなかったのね。
駅で黙っててごめんって言ってたわ。」


「俺、頼りなかったんっすかね…」
俺はこの言葉も自然と口から出た。



「そんなことないわよ!むしろ逆で葵くんに
出会って過ごすようになってから
あの子、強く生きたい!
って願うようになったのよ!」


俺と会ってからから?
「それまでは生きたいって
思ってなかったんですか?」


素直に疑問に思ったから聞いてみると


「んーちょっと違うかな。
ドナーがいればずっと生きられるのに
ドナーなんて現れるわけない。って思って
余命以上の人生を諦めてたの。
進路希望なんてすぐ捨ててたし。
将来の夢も考えても無かったのよ。」


って優香さんは昔を思い出すように
しみじみと言った。