「もう何の心配もいらねぇな。大也に集めるぞ。タイトル総ナメにしてこい」

後半戦開始前の円陣でキャプテンが言う


「もちろんです」

そのつもりで今シーズンを挑んできた


試合終了のホイッスルまで全力で走り抜けてやる


「行くぞ野郎共!」


お決まりの掛け声


グランドに野郎共の雄叫びが響く
















表彰式の後のインタビューでいつもは喋りたがりの先輩達が俺に気を遣ってか一言ずつで終わらしている


なんで俺より先輩達がそわそわしてんだか…



俺の前に来て質問をするインタビュアーからマイクを奪う



「日下杏さん」


観客席に座る彼女を見つめ名前を呼ぶ



彼女は椅子から立ち上がり目の前の柵に手を掛ける






「5年半前のあの日から俺の原動力はいつだってあなただ。これからもそれは変わらない。」



彼女を真っ直ぐに見つめ言葉を紡ぐ


5年半前のあの日からただ真っ直ぐにあなただけを求めた





「俺と結婚してください」





彼女の瞳から溢れる涙




声は聞こえないけれど彼女の唇が


「はい」


と動く






俺の一生をかけてあなたを幸せにしたい







fin(2017.04.18)