運命なんてありえない(完結)





「んー快晴っ!」

年が明け、二回目の日曜日がやってきた

大也くんが所属する高梨グループのラグビー部は順調に決勝へと駒を進め、本日14時に運命の試合が始まる


私は予定通り佳香にシフトをいじらせ、折角なら月曜日に有給とって定休日の火曜日と三連休で大阪を拠点に観光も楽しんじゃおうと今日の9時発の新幹線で2泊3日の旅行をすることにした


小さいサイズのキャリーバッグと手荷物はリュックにもショルダーバッグにもなる有名スポーツブランドの優秀なカバンこれにカメラも貴重品も細々したものも全部入れる!


腕時計もしたし、いざ出発ー!



佳香と新幹線の駅で待ち合わせ、2人で駅弁を選んでホームで新幹線を待つ


旅行のシーズンから外れているためか日曜日だというのに、乗客は少なめ




昨日降った雪のためか新幹線は少し遅れてやってきた



乗ってからもスピードを落としての走行や除雪が間に合ってないとかなんかで新大阪に着いたのは予定時刻を大幅に遅れ13時30分を回っていた


新大阪から花園まで電車で50分…キックオフに間に合わない


とりあえず急いで乗り換えをする


御堂筋線で15分揺られ、なんば駅で近鉄奈良線へ乗り換える




電車の中で試合開始の時刻を迎える



「杏さん、駅に着いたら私が杏さんのキャリーバッグも運ぶので杏さんは先に会場に行ってください」

佳香の言葉に有難く頷き、リュックのサイドポケットからチケットを1枚取り出し佳香に渡す



東花園駅に着く間際にキャリーバッグを佳香に託す


駅に着くと本当は危ないからやっちゃいけないけど、今日だけは許してとホームを駆け抜け改札もスレスレで通る

花園までの道のりも他の通行の妨げにならない程度に走る

何がスクラムロードだ!!遠いんだよーー!


普段の運動不足を道路のせいにしながらも走った



なんとか会場前まで辿り着いた頃には前半が30分を経とうとしていた


入口でチケットを見せ、チケットに書いてある席を探しながらチラリとグランドを見る



彼はいつも通りに走っていた…ただいつもより少し苦しそうな表情