「あっそういえば!」
急に起き上がり、チケットを出したポケットとは逆のポケットを探る
大也くんのポケットはドラえもんのポケットかと思うほどに色々なものが出てくる時がある
出てくる物の便利さという意味ではなくて、ポケットの体積の方の意味で…
私も態勢を立て直す
「今度の週末は遠征だから、はい!ちょっと早いけどクリスマスプレゼント」
そう言ってポケットから出された物は本当にどうやってポケットに入ってたの?と聞きたくなるサイズの立方体のキレイにラッピングされた箱
ポケットに入っていたのにラッピングにシワひとつないことも不思議…
「ありがとう」
私の手に乗せられたそれを丁寧に開けていく
箱の重さと大きさに昔貰ったそれを思い出す。私のジャケットの左ポケットに眠るそれは
腕時計
「これ…どうして…」
箱を開けて驚いたのは私が雑誌を見て欲しいと思っていた、某有名ブランドのベルトの金具のひとつひとつがラバーでコーティングされたデザインのもの
「前に来た時に熱心に雑誌のその時計のページを見てたからかな」
そういつもの極上スマイルで言われれば、当然のように激しく動く心臓
私の手の中から箱を取り上げ、腕時計を取り出して箱をローテーブルに起き、私の左腕に腕時計をはめる
金具ベルトのサイズを合わせるのって本人がいなきゃ難しいのに、ピッタリ合うベルト
「ん〜さすが俺!」
自画自賛する大也くんに思わず吹き出す
「大也くんありがとう」
改めてお礼を言ってソファを立つ
テレビボードの引き出しから大也くんに貰った物と同じ包みの同じ大きさの箱を出す
「え?それ…」
まぁ焦るよね
「これは大也くんに私からの少し早いクリスマスプレゼント」
そう言って大也くんの手に箱を乗せる