「はぁ、はぁ」 遠くへ、できるだけ遠くへ。 そう思って走った。 涙が勝手に出てくる。 私、まだ斗馬のこと好きみたい。 涙で前が良く見えない。 ......ドン!! 「キャっ!」 廊下に倒れ込む。 誰かとぶつかった! 涙をぬぐいながら、顔をあげる。 「大丈夫か?」 正宗さんが立っていた。 光さんと違って手を差し出してはくれないんだね。 ゆっくり立ち上がり、スカートについた埃をはらう。 「ごめんなさい、私前をよく見てなくて」 「別に」 やっぱり不愛想。 光さんとは対照的。