「お前、現場ではしゃぐな。」


「いやだって、お化け屋敷みたいでテンション上がるじゃないか。」


「…全く理由になっていない。」



栃木県警

那釜(ナガマ)中央警察署



子供がそのまま大人になり熱い情熱を持った単細胞、鳴鎧喝宥(ナガイ カツヒロ)巡査部長と


理論的ではない相棒に頭を抱える知識豊富な制御盤、毯出克治(タンダ カツハル)巡査部長



刑事課に属する対照的なこの二人は、たった今苧筬匠(オオサ タクミ)というホームレスの不審死の現場から戻ってきたばかりだ。



「幽霊屋敷って遺体発見した不良連中には有名なんだぞ?人魂とか出そうだろ。」


「人魂はリン化合物という科学的な説がある。あの屋敷は金持ちが建てた後に廃墟のまま放置されていただろうが。動物なんかの死骸や壊れた古い電化製品が原因だ。オカルト染みたことは止めてくれ。」



西洋風な外観に違わず、セルロイド人形やナトリウムランプやカンテラが転がり、肝試しにはおあつらえ向きな雰囲気だったのは確かだ。



「あら、毯出くんもしかして怖いの?」


「え?毯出さん、幽霊怖いんですか?」



「誰がだ。現実主義と言ってくれ。」