突然、重い空気の中から小さなソプラノ声が聞こえる。
俺の声ではない。
「…あの、黒澤くん…えっと…噴水、綺麗だね。」
佐倉は何を言うか考えていたかった様子で周りをキョロキョロしてから噴水を見つめた。
その時の横顔はなんだか切ない気がした。
「あぁ、綺麗だな。
俺、昔からこの噴水見るとなんか温かい気持ちになるんだよな。
なんていうか…懐かしい感じがするんだ。
って変だよな、俺。」
俺がそう呟けば、佐倉は少し驚いたような顔をしたけどすぐに目を細めた。
「変じゃないよ、私もこの噴水見てると元気が出るもん。」
自然と視線が絡み合ってお互いに微笑み合う。
俺、結構重症かも。
こいつ、見てると胸が苦しい。

