精一杯の想いを君に贈る*この想いは君にだけ

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鈴菜side


「ねぇ、君可愛いね。」


一輝と話して数分。


知らない人に話しかけられた。


「へ?」


その時、一輝は海に遊びに行ってこの場にはいなかった。


話しかけてきた相手は高身長で金髪の人。


ピアスもジャラジャラついていて


この人…なんか怖い。


「一人なんでしょ?俺と一緒に遊ぼー。」


ニヤニヤと怪しい笑顔を浮かべて私を舐め回すように見てくる。


「ひ、一人じゃないです…!人を待ってるんです!」


実際には一人だけれど


嫌な予感がして、金髪の人から距離を取ろうと立ち上がる。


彼の顔をもう一度チラッと見た。


顔を見た刹那、ある映像が頭に流れる。



『一緒に死のう、鈴奈ちゃん。』


『可愛い可愛い…ッ僕だけの鈴奈ちゃん。』


やっぱり…っ。


この人はあの時の"あの人"の顔にソックリ。


顔のパーツとかが似ているんじゃなくて


この人が出している雰囲気とか…


その笑顔とか。


何を考えているか分からない不気味な笑み


その場から立ち去ろうとした瞬間、


「えっ?」


腕をグッと掴まれる。


突然のことで抵抗が効かなくて


そのまま引きずられるようにして腕を引かれた。


…どうしよう!


この人、どこに向かってるんだろう。


ザァーッと波の音がどこからか聞こえてくる。


も、もしかして…海?


足から伝わる砂浜の温度がやけに冷たく感じる。


「は、離してください…!」


必死に彼の行動を止めようと来た道を戻ろうとするけど


彼の力と私の力には差が有りすぎる。


真っ青になった私の顔を見ながら


「フフッ、海が怖いの?可愛い…ッ。」


不気味な笑顔を浮かべる。


いや、怖い…っ!


近づいてくる波の音に体がビクッと震える。


誰かに助けを求めようと周りを見るけど、この辺の砂場は人通りが少ない。


嫌だ…! 


いやだ、嫌だ!


『…ゲホッ…っ、助け…て…っ!』


『…お母さんっ…!お父さん…!!』


嫌だ、嫌だ、嫌だ…っ!!


誰か…誰か…助けて…っ。


「…っ、ぅ…ぁ…」


だんだんと上手く呼吸ができなくて、体が苦しくなる。