画面にはしーちゃんと書かれていて、私は眉を歪ませた。



私が彼氏といることを彼は確実に知っている。そしてそれを邪魔しようとするわけもない。
だって休みをくれた張本人だから。


無駄なことならかけてこないだろう。だから考えられるのは、緊急を要する電話


でもこのタイミングで電話でちゃう?
晃とこれから……



うう…と思い悩んでると、再び着信が。



「出てあげなよ。心優は社長さんだろ?」


拒否するか悩んでいたら晃がそう言って笑ってくれたので、出ることにした。



……ダメだな。
仕事と彼氏天秤にかけるようじゃ。



「もしもし?」


『みゅー?ごめんなさいね……実はね、いつもは家にいるはずの慎ちゃんがいないのよ。蓮と違って、必ず家で引きこもってるはずなんだけど……。』



「え、連絡も何もないの?」



『ええ。こんなこと初めてよ。凛ちゃんと慎ちゃんは、インドアだし。外に出てもこんな時間まで帰ってないことはないのよ。もう23時でしょ?連絡とか入ってないわよね??』


「う、うん。」



『……知らないならいいわ。邪魔してごめんね。かけるか悩んだのよ一応。こっちはいいからゆっくり休んでちょうだい』


「あ、え、し、しーちゃん、ちょ」


プッと電話画面がホームに変わる



用件だけ伝えられてモヤモヤしたまま切られるってどういうこと?



……ってか慎太郎くんって家からでることあるんだ。いや、ないから驚いているのか。



「大丈夫?心優」


「あ、う、うん。平気」



19歳だし家にいないからどうとかガミガミいう歳でもない。



大丈夫だと思うけど…



一度気になりだすと、切り替えられない私は、色々最悪なパターンも妄想してしまった。




何かに巻き込まれたとか誘拐とか。



「ねぇ、晃ちょっと電話かけてもいい?」


「もちろん。」



連絡が取れたらそれでいいんだからと慎太郎くんに電話をかけてみた。



しかしかかる暇もなくすぐに留守番サービスに繋がってしまう。



「…繋がらない……」


「……何かあった?」


「いや、いつも家にいる子がいなくて、メンバーの子なんだけど。」






探さなきゃとか言って探しに行ったら間違いなく晃も巻き込むよね。


それに女が出かける時間じゃないって怒りそうだし。彼のことなら。




「……心配って顔に書いてある」

「あ、そ、そりゃ心配だけど、メンバーの年上2人に任せる。私はこういう時車もないし、ただ電話で探すしかできないから……」


「……それがいいよ。心優ちょっと疲れた顔してるしな。俺もよくオールで遊びに行ったりするし、幼い子供じゃないんだろ?」



「うん。19歳だし。大丈夫だよね」


「絶対大丈夫だって」




……とりあえず何度も電話かけてみるか。
繋がればいいけど。