グッと拳を作って出て行きたい気持ちを我慢する。
今行ったところでどうなる。そう思ったから
「いや、それ言ってたけどどう見たってオネェじゃないよ。もしかして、純平(じゅんぺい)嫉妬でバカなこと言ってる?」
女の子が俊輔さんを庇うように言葉を出した。
他の子も”そーだよー”なんて言いながら彼にブーイング状態。
「いや、マジだから。なんならRein見せてもいいし、そいつ俺に媚びたり貢いできたり気持ち悪いのなんの。」
まさに化けの顔が剥がれたというのはこのこと。
やっぱり貢がせてるんかいっ!!
とイライラが最高潮に達した。
Reinを容赦なく見せたのか、
「……うわぁ…」
と女の子達が引いたような声を聞こえる。
ハートとかいっぱい使ってるのかな…
いや絶対使ってんな。
「…みーちゃん」
足でツンツンと凛太郎くんが合図して
「しーちゃんの姿が見えないけど、絶対傷ついてるよ」
と声をかけてきた。
そんなことわかってる。
何か丸く収める方法は……
「くっそ。あの男、俺ぶん殴ってくるっ!」
健吾さんがそう言って立ち上がろうとした刹那
「……オネェだって暴露しちゃえば?しーちゃん」
というくそ男の声がしたので私はバンッと机を叩いて後ろの席に歩いて行った。
「よし、良くやりました!ミッション終了!!すごいよ!俊輔さん!!」
突然拍手しながらそんなこという女が現れたものだから、更に場が凍る。
「な、あ、あんた」
「いや、もうオネェのキャラつくりはいいから。ごめんなさい…今度芝居でオネェ役するので勉強してもらってたのです。あ、私こういうものです」
しっかり芸能事務所の名前と社長という肩書きが書かれた名刺を全員に行き渡るように渡した。
こんなところで、オネェバレして2ちゃんとかにバラされてなるものかっ!!
「…騙してごめんなさい。私が一般の男性を1人でも騙せたら、絶対この芝居は上手くいく。なんてバカなこと言ったのを真に受けちゃって……彼真面目だし、本気でキャラつくりするものだからしばらく付き合ってもらおうと思ってて。」
小娘だけど、社長らしく凛と胸を張って
自分の事務所のアイドルを守る。
そう、嘘がはいっていようがこれは私の仕事だ。

