アイドルの素顔に夢を見るのは間違っている



あの後、蓮斗さんも慎太郎くんも来なかったので

健吾さん、凛太郎くん、私の3人で作戦を立てた。



「とりあえず変装はしてみたけどどうかな?」


「いや、これぜってーバレるって。」


金髪のウィッグをつけて、ヒョウ柄のサングラスに普段着たこともないセクシー路線の服を合わせてみたけど、健吾さんは眉をしかめてる。




「僕、いつものみーちゃんの方がいい……」


「でも、いつものみーちゃんなら見つかっちゃうじゃん!!!」



「でも、蓮くんが連れてる女の子みたいでやだ……」



凛太郎くんにも不評。



2人にもウィッグとサングラス渡したけれど、逆に怪しいかもしれない。



「網タイツはちょっとやらしいし俺好みかな……」


「あ!!もうこんな時間!!行くよ!」



むっつりギャンブラーを無視して、私は慌てたように事務所を出た。カツカツとなれないピンヒールに足が中々ついて行かず。




「みーちゃん…まって」


後ろから渋々2人が追いかけてきて、危なっかしい私を健吾さんが支えてくれた。




「いや、俺アイドルになるってのは決めたけど探偵になるとは一言も言ってない……」


「私もまさか社長とマネージャーの仕事にこんなことまで入ってくるとは聞いてませんけどねっ!!!」




文句ばっかりの健吾さんに、ケッと嫌味を叫んでタクシーに乗り込む。場所はもちろん俊輔さんが行った場所で、20分もすれば着いた。




「凛太郎くん。いま何時?」


「えっとー7時になってるよ」



「ああやばい!!始まっちゃう!!」



運転手さんにお金を払って慌てたように、居酒屋に入れば人気のお店なのかガヤガヤ賑わう店内。




「…しーちゃんどこかな?」


「……んー…あ、あれじゃね?」



男2人は私に目で合図して、遠慮がちに指をさす。どうやら女3人と男3人が乾杯中で、私が見た時にはすでに美味しそうにドリンクを飲み始めていた。



その中に見覚えのある男が1人




間違いない!!
あれだ!!