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「眠い……」


翌日。
バーに行ったせいで眠気に襲われている私は、なんとか事務所にたどり着いて今後の動きについて考えていた。


いまはこのクズたちをアイドルにする方法とか、そんなことよりもとにかく俊輔さんのこと。


女によって人気が出る生き物なのに、男が好きで更にオネェで、それを知ってる人が増えていくのは困る。


本人がそんな気がなくても、昨日みたいにアウティングされればすぐに話は回っていく。


そこのところ早急に手を打たないとと思って頭を悩ませていたのに



「か、彼に!! 食事に誘われたのっ!!!ど、どうしようっ!!!」


また別の問題にぶち当たることになった。



「……しーちゃん嬉しそうだね…」


私が頼んだ書類をまとめてくれていた凛太郎くんが冷静にそう呟いている。


「だ、だって、ま、まさかっ!カミングアウトしたから距離置かれると思ってたのっ!これって脈があるの!?どうなの!?」



……頭が痛いぜ。全く



「わかんない…そんなの。好きな人は監禁したいとかそういうんじゃないの?」


「…聞く相手を間違えたわ。」



2人のやりとりを見つめていると、健吾さんが目で私に合図してきた。


なんとかしろということですか。そうですか。




「……どうしよう…2人きりかしら。あ、お友達も一緒って……そうよねでもそれでもすごいことだわっ!!」



私はとりあえず


そういやあのバーテン……合コンするって言ってなかった??


とそのことが引っかかっていた。



そう。昨日バーで神経を張り巡らせて会話を聞いたから間違いない。



勝手にアウティングもしていたし、見世物にされるんじゃないんだろうか。




「…何を着て行こうかしら…ああ困っちゃう」



顔が宝の持ち腐れの彼の言葉に、私はバンッと机を揺らす。




「行くことは許しませんっ!!」



そして大きく事務所に響いたセリフに、ピキッと張り詰める空気。



健吾さんと凛太郎くんと俊輔さんと私


相変わらず来てない2人はいるけれど、いま私が構うべき相手は俊輔さんだ。




「……何様よっ!あんたが決めることじゃないでしょ!」



「私が決めることですっ! 社長兼マネージャーが自分のところの所属タレントの管理をしないでどうするんですかっ!」


「偉そうにっ!! まだ右も左も分からないひよっこのくせにっ!!」



本当に女と喧嘩してるみたいだ。


そしてこの人1番まともだと思っていたのに、恋して盲目になりすぎてる。



「……騙されてるかもしれないんですよっ!!」



思わずなんて止めたらいいかわからなくて、確証もないのにそんなことを叫んでしまった。