食べ終わって、事務所に帰る途中
健吾さんの言った通り、真面目にやってきた俊輔さんに会った。
「あら、なに?2人で」
「よぉ、俊。金すったから奢ってもらったんだよ」
「相変わらずね。ちゃんとなさいよ。健ちゃん」
お説教されたって、懲りた様子のない健吾さんはしまりのない顔で えへへ と笑っている。
「凛太郎くんはともかくとして、他の2人はどうしたの?」
恐る恐る彼にそう聞いてみると、冷たい目線を向けてきた後
「慎ちゃんは、ゲームのイベント行ったし、蓮ちゃんはまだ家にいなかったわ。女の所じゃないの?」
とどこかで聞いたようなことを教えてくれた。
やっぱり当たってる……健吾さんのいうこと。
「それにしても蓮ちゃんったら、あんなケバい女のどこがいいのかしら!! 許せないわ……」
ゴゴゴゴっとおネェが違うことで怒り出したので、私はとばっちりが来ないように静かに事務所の中へ。
「……なぁなぁ、俊。頼むから金貸してよ」
「いやよ。返ってこないもの」
「……心優ちゃん…」
「玉かコインか馬券に変えられるお金が可哀想だから嫌」
「……ちぇっ」
正にギャンブル依存症
ここまでしてのめり込むのは一体何故なのか、私には理解できなかった。
「健ちゃんギャンブルばっかりしてないで、さっさとケリつけてきたら?じゃないとヤバいんじゃないの?」
「……そうなんだけどなぁ……」
「なにがヤバいの?」
私の質問に2人はピタッと動きを止める。そして顔を見合わせると
「「なんでもない」」
と口を揃えたので怪しさMAXだ。
「……なに。なんでもないって」
「小娘には関係ないってことよ。わからないの?」
「気にしないでいいからさ。」
そんなことを言われたら気になるに決まっているじゃないか。きっと良くないことなんだろうけど。
だけど決して言ってくれそうな雰囲気ではなかったので、それ以上聞くのはやめておいた。
まだ心は開いてもらえてないということですね。
ったく。難しいやつら。

