ハロウィン


今日は10月31日。

ハロウィンだ。

俺は仮装した(化けたり、一部変化を解いたり、そのままの)モノノケたちと一緒に街を練り歩いている。
あの可愛らしいほわほわした黒の猫耳をつけて・・・。

「ハッピー・ハロウィン・・・」

抑揚のない調子でそう言うのは小豆洗いの徒寅【ととら】

徒寅は桶に入れた小豆を忙しなく磨ぎながら歩いている。

ザラァ・・・ザラァ・・・。

その不気味な音に人は立ち止まり、こちらへと目を向ける。

『リアルだね』

『怖っ!』

『凄い・・・』

そんな声がちらほらと聞こえてくる。

一つ目小僧に倉坊主、豆腐小僧に小豆洗い。
提灯お化けにから傘お化け、人面犬に雪女・・・。
それに加え、まだまだいる・・・。

よくもまあこれだけ集まったと言うほどの魑魅魍魎が集まった。

流石はモノノケの長に当たる先生の声掛だ・・・。

「楽しんでいますか?」

先生のその言葉に俺はコクリと頷いた。
先生はそれに「それはよかった」と呟いていつものように笑んだ。

そんな先生の頭には大きな黒い三角耳が左右合わせて四つ生えており、漆黒の着物からはそれと同じ色をした大きな翼がこれも四つ生え、太く立派な尾は九つ見てとれた。
そして、その先生の目は今、おぞましい血色をしている・・・。

「・・・先生は?」

「私ですか?もちろん、楽しんでいますよ。ありがとう」

笑んでそう言う先生に俺はまたコクリと頷いて人の世をゆるり見回した。

人の世は息苦しかった。

不意にそんなことを思う。

「今はどうですか?」

「・・・わかりません」

先生の問いかけに俺は俯いた。

本当にわからない・・・。

俺は何故、生まれた?

俺は何故、生きている?

俺は何故、存在する?

わからない・・・。

「生きると言うことは難しいことですね」

先生が静かな声でそう言った。

俺はそれに「はい」と返事をした。

生きると言うことは難しい・・・。

昔の俺はその事さえ知らなかった。

それに気づけた俺は少しはまともな人間になれたのだろうか?

俺はその事を人ならざるモノたちから教わった・・・。