「今後のことですが」

富樫さんが口火を切ってくれて、私も居住まいを正した。

「中村さんはこの話に乗り気ではないでしょう?まだお若いし、見た目もかわいらしいのに。田山さんにゴリ押しされましたか?」

「確かに課長にはやや強引に話を進められましたけど、恋愛の市場において私は決して若くはありません。出会いも多くないし、もう数年誰ともお付き合いしてないんです」

「それは意外ですね」

「富樫さんの評価は甘すぎます。富樫さんの方こそどうして今までご結婚されなかったんですか?」

「私は仕事が好きなので、仕事を優先しすぎたきらいはあります。一人暮らしに不便も感じていませんし。だけどあまり恋愛に執着がないのが一番の理由でしょうね。だからいつもうまくいかなかった」

なるほど、いわゆる草食系男子ということらしい。

「けれど私もかなりいい年齢なので、そろそろ親を安心させたい。できることなら孫も見せてあげたいと思ってます。中村さんはどうお考えですか?構わないので率直な意見を言ってください」