大人のいない世界

あんなに仲の良かったナナ。

一緒に暮らして、たくさん笑い合った翔、舞衣。


強く結ばれていた絆。


全部全部、崩れてしまった。


私はふらりと街を歩き、なんとなく図書館に来ていた。


図書館にはたくさんの子ども達が絵本コーナーに群がっている。

この世界は子どもばかりなので、子どもが大好きな絵本コーナーに人が集中するのだ。


だから、子どもはあまり好きそうでない推理小説コーナーや難しそうな文学コーナーには、あまり人はいない。


私も……勉強は小学六年生の時点で終わってしまったので、難しい本はあまり読めないけれど、

少しでも静かなところに行きたくて、推理小説コーナーをふらりを歩いていた。


すると、そこには知っている顔があった。


広汰おにいちゃんと、鈴ちゃんだ。


「あ、杏奈。

珍しいね、図書館に来るなんて。

何か、さがしもの?」


広汰おにいちゃんが私にたずねる。