大人のいない世界

そう言って、私はナナの手を引っ張った。


「ちょ、ちょっと杏奈！」

「いいから！」


そのまま、私はナナを無理矢理美佳ちゃんの家に連れて行った。

翔と舞衣も……二人にはきついかもしれないけれど、ちゃんと現実を見てもらうことが大切だと思ったので、連れてきた。


この前は割れた窓ガラスから入ったけれど、前回美佳ちゃんの家に行ったときにもし何かあったらと玄関の鍵を開けておいたままにしておいたので、

今回は玄関から美佳ちゃんの家に入った。



「ここだよ」


美佳ちゃんの部屋の前まで、私達はやって来た。


「ここに、美佳ちゃんの殺された証拠がある。

これを見れば、みんなにも理解してもらえると思う」

「ちょっと、杏奈。

もしかして、翔君と舞衣ちゃんにもその……見せる気？

私にはともかく……二人にも見せるなんて、杏奈ちょっとどうかしているよ」

「仕方ないよ。

だって、それが真実なんだから」

「杏奈おねえちゃん？」

「どうしたの、いつもとぜんぜんちがうよ、おねえちゃん」