大人のいない世界

「わ~!きれいにやけた!ナナちゃんすごーい!」

「舞衣ちゃんが上手に混ぜてくれたからだよ。

さあ一緒に食べよう」

「うん!」「うん!」


楽しそうな三人。


「杏奈も、ホットケーキ食べる?」

「……いらない」


私は素っ気無く答えた。



明日はナナの誕生日だというのに、全然ナナに良く接することができない。

だって、ナナってばのんきすぎる。すぎるんだよ。


自分は、消えてしまう、殺されてしまうかもしれないっていうのに。


みんな、美佳ちゃんの部屋を見ていないから、のんきでいられるんだ。

きっとあれを見れば、みんな私の話を信じてくれるに違いない。