「え?」


「だから、そこに美佳ちゃんはいなかったの。

代わりに、美佳ちゃんの血があった。

このくらい大きな水溜りみたいに………」


そう言って、私は手で輪っかをつくる。


「それって…………どういうこと…………?」


「殺されたんだよ、美佳ちゃん。

誰かに殺されちゃったんだよ……………!!!」


「そんな、でも、だからって……大人の世界がないと決まったわけじゃないじゃん。

たまたま美佳ちゃんが殺されただけで、蓮とか他の消えた十六歳達は、普通に大人の世界で暮らしているかもしれないじゃん。


だってほら、消えたみんなは十六歳になってしばらくしてからいなくなったじゃない?

でも、美佳ちゃんだけ十六歳になった途端すぐに消えた……というか殺されたっていうのは不自然だよ」