大人のいない世界

私は、適当な態度を示すナナに少し苛立ちを覚えながらも、話を続けた。


「………で、その窓ガラスが割れた音がしたちょっと後に、ゴッという鈍い音がしたの。

ちょうど何か重いものが当たったような………」


「へえ」


「それで今朝、美佳ちゃんの家の中に入ってみた」


「わ、不法侵入だ」


「……ちょっとナナ、ふざけないで。

私は、真面目な話をしているんだよ!?

それに、こんな世界で不法侵入とか法律とか、関係ないでしょ!?」


私が声を荒げてナナに言ったので、ナナはビクッと肩を動かした。

翔と舞衣は、驚いたように私の顔を見る。


「ご、ごめん……。

続けて」


「……美佳ちゃんはいなかった」