大人のいない世界

「それで………この世界が危険って、一体どういうこと?」


ナナが、たずねる。


「あのね、昨日の夜……というか、今日の深夜三時頃のことなんだけど……。

隣の……美佳ちゃんの家で、窓ガラスが割れる音が聞こえたの」

「そーなの?ぼくぜんぜん気づかなかった」

「まいも」


二人がとぼけた顔して言う。


「二人が気付いていないんじゃあ、ただの勘違いなんじゃないの?

だって三時でしょ?

寝ぼけていたか、夢だったかのどちらかでしょ」

「違うの!

確かに、窓ガラスが割れていたの!ちゃんとこの目で見たの!!」

「ふぅん………。

そっかそっか」


私の相手をするのが面倒臭いのか、ナナは適当に相槌を打つ。

絶対信じていない………。