大人のいない世界

「ナナ!ナナ!」


ドンドンドンとナナの家の扉を叩く。

すると、中から寝ぼけ眼のナナが出てきた。


「ちょっと、どうしたのよ杏奈。

何、その荷物。
ていうか、なんで翔君と舞衣ちゃんまでいるの?

こんな朝早くに………一体なんの騒ぎ?」


「聞いて、ナナ!

この世界は危ないの!

このままだと、ナナは二日後に殺されてしまうの!

だから、私と一緒に逃げよう!」


「……ごめん。意味わかんない」


「だから、大人の世界なんて、なかったの!!

十六歳になれば、みんな殺されてしまうんだよ!!!」