大人のいない世界

キッチンへいき、私はオムライスづくりに取り掛かった。


「まだかな、まだかな~」

「はやく食べたいなぁ~」


二人は待ち遠しそうに、私の後ろで足踏みをしている。

パタパタパタ、と小刻みなリズムに合わせて、私ははなうたを歌いながら、調理をしていた。


翔と舞衣もまた、大人達に苦しめられた子ども達だ。


翔と舞衣は二卵性双生児……簡単に言うと双子だ。

二人は六歳。

大人達が存在していた世界ならば、二人は小学校に通っていただろうが、大人達がいない世界には、学校という邪魔で面倒臭いものも存在しない。

二人は三年前の春…施設の前で母親に、「ここで待っていなさい」と言われたらしい。

そのまま母親はどこかへ行ってしまい、二人はそのまま待っていろと言われた施設で生活することになった。


しかし、その施設は最悪だった。

翔と舞衣の他にも、たくさんの孤児がいたというその施設は、後からやってきた二人に対して、あまりちゃんとした食事を出さなかったらしい。