「……」


「どうしたの、杏奈おねえちゃん」

「楽しくないの?」


黙って下を向いている私に、翔と舞衣が話しかける。


「ううん、なんでも……」


そう、なんでもない。


大人がいたときは、あんなに苦しい想いをした。

だけど、今は何不自由なく暮らせている。


大人がいたころより、ずっと平和に暮らせている。


そうだよ。


この世界は、正しいんだよ。