大人のいない世界

言い争いを続ける二人。

慌てふためく私。


そこへ、一人の男の子が現れた。


「まあまあ、二人とも落ち着いて。

杏奈が困っているだろ?」


優しい顔立ちと、少しクセのある髪。

そして穏やかな、まるで世界を包み込む朝の日差しのような声。


「広汰おにいちゃん……っ」

「広汰………」


二人は、広汰おにいちゃんの顔を見るなり、すぐに言い争うことをやめた。


「なんで喧嘩していたの?」


広汰おにいちゃんが、ナナの顔をまっすぐ見てたずねる。


「鈴ちゃんが、その………とてもきつい言い方で注意してきたから、ついキレちゃったの………」

「注意って?」


今度は、鈴ちゃんの顔を見てたずねる。