大人のいない世界

「鈴ちゃ……ん!?」


私達は、久しぶりに鈴ちゃんの姿を見たので、驚いてしまった。

髪の毛を一つにまとめ、パッチリとしているのに鋭いその目で、私達を睨みつける。


「何よ、人のことをまるで幽霊みたいに」

「ご、ごめん……そういうわけじゃ…。

ただちょっと、驚いちゃって」


私がそう言ったのを無視して、鈴ちゃんは、


「こんなところでヒステリックに叫ぶのはやめてくれる?

公共場で騒がしい。

正直迷惑。

うるさい。

耳が痛い。

虫唾が走る。

イライラする。


叫ぶなら、誰もいない荒野で叫んでくれる?

それなら、誰にも迷惑はかからないでしょ?」


と、きつい口調で言った。