ナナは、世界から大人がいなくなる前、父親からのひどい暴力に悩まされていた。

体にはたくさんの傷があって、今もそれが消えないのだと、いつも私に話していた。


「そっか……。
私も同じ。

ナナと同じように、大人がいた頃の夢を見ていた。

お母さんに殴られて、私は『ごめんなさい』って謝っていた………」

「杏奈も……。

でも、よかったよね」

「何が?」




「大人が、消えてくれて」