「あのね、広汰(ヒロタ)おにいちゃんと、空をとぶゆめ!」

「そっか。

それはとても楽しそうな夢だね。

私も、空を飛ぶ夢、見てみたいな。


翔は?どんな夢を見たの?」


「ぼくは……すごくこわいゆめを見たんだ。

ふねの上で、かいぞくにおそわれるゆめ」

「ええ~!こわ~~い!!」


翔の夢を話を聞いて、怖がり屋の舞衣は今にも泣きそうな表情を見せる。


「でもね、広汰おにいちゃんがぼくのことをたすけてくれたんだ!
やっぱり、おにいちゃんはゆめの中でもかっこよくて、つよいんだ!」


興奮気味に翔は話した。

さっきまで泣きそうになっていた舞衣はそれを聞いて、
「すごーい!広汰おにいちゃん!」
と夢の中のことなのに、まるで現実で起こったことのようにはしゃいでいた。


「へえ、二人とも広汰おにいちゃんの夢を見たんだ。

すごい偶然だね」


私がそう言うと、翔は身を乗り出して、


「ちがうよ!ぐうぜんなんかじゃない。

だって、ぼくたちは広汰おにいちゃんのことが、だいだいだいだいだーーいすきだから!」


と言った。

「まいも。
まいも、広汰おにいちゃんのことすき!」


負けじと、舞衣も言う。