大人のいない世界

その日は、ナナの精神状態がとても不安定だったことから、ナナは今日は私の家に泊まることになった。

翔と舞衣は、ナナと一緒に遊べてとても喜んでいたけれど、ナナはあまり楽しそうではなかった。


彼氏の蓮君は消えてしまったのだから、無理はない。


私も、福也君がいなくなってしまったときは、すごく辛かった。

もちろん、今も辛い。


そこにいるのが当たり前だった人が、突然いなくなると、胸の中に大きな穴がぽっかりと開いたような気持ちになる。


ナナが妊婦ということもあり、ずっとナナに気を遣っていた私は、夜になるとすぐに眠たくなってしまい、

寝室に行く気力もなく、リビングのソファでだらしなく寝転んだ。


「はぁ………」


「杏奈……ソファで寝るの?」


ついさっきお風呂からあがってきたナナが、頭をタオルで拭きながら言った。


「うん、だるいし。

ナナは、私のベッド使っていいよ」