「何?
何か、蓮について思い出したことがあったの!?」

ナナが身を乗り出す。

「いや、そういうわけじゃないんだけど……。

でも、蓮君とは無関係というわけじゃないと思う。

私や、ナナにとっても」

「それってどういうこと?」

「私、ずっと思っていたんだ。

どうして、この世界には大人が一人もいないんだろうって」


すると、ナナはぷっと噴き出して、


「そんなの当たり前じゃない。

広汰おにいちゃんが大人を消してくれたからでしょ?

だから、私達子どもだけの世界になった。

杏奈ってば、今更何言ってるの?」


と馬鹿にした。


「そうじゃないの。

だって、おかしいじゃない。

確かに、この世界ができあがったばかりのころは、私達子どもだけだった。

そのときの最年長の子どもの年齢、覚えている?」