大人のいない世界

まさか………春子ちゃんは自分で自分を刺したの…………?


「騒がしいわね……。

どうしたのよ、一体」


さっきまで眠っていた鈴ちゃんが、目を覚ます。


「ちょっと、どうしたのよ、これ!!」

「わかんない……目が覚めたら、いつの間にか春子ちゃんが血まみれでっ…………」

「そんな……………。

と、とりあえず福也君達に伝えないと!

アンタは、ここで待っていて」

「で、でもっ………」

「アンタまでついてきたら、もし広汰に見つかったらどうするつもりなの?

それに、私はまだ十五歳だから平気よ。

広汰が殺すのは、十六歳になった人だけだから」


確かに、鈴ちゃんの言う通りだ。

今、私がここから出ていって、広汰おにいちゃんに見つかれば、確実に殺される。