大人のいない世界






目を開けると、そこには真っ暗な空間が広がっていた。

どこ、ここ?


あてもなく、私はその空間をゆっくり歩く。


しばらくして、目の前にぼんやりとした影のようなものが浮かび上がってきた。



『杏奈』



影が、私の名前を呼ぶ。


『杏奈』


徐々に、影の形がはっきりする。

これは………………。


「お母さん……………?」


どうして、お母さんが…?


『杏奈、こんなところで何しているの。

早く勉強をしなさい。

あなたはね、他の子とは違うの。

あなたは成績だけは良いんだから、それを生かして生きていくべきなのよ。


だから、早く勉強をしなさい』


お母さんが、じりじりとこちらに近づいてくる。


「やだ…………。

勉強なんて、嫌だ…………」