大人のいない世界

「春子ちゃん、大丈夫?」

「…………………」


話しかけても、春子ちゃんは返事をしない。

春子ちゃんの目はどこにも焦点が合っていなくて、どこを見ているのかさっぱりわからない。


「お前、何をした!答えろ!!」


福也君が実君の胸倉を掴む。

実君も、何も答えない。



「春子ちゃん…………何があったの?」

「……………」

「春子ちゃん?」


俯き、黙る春子ちゃん。


「とりあえず傷の手当てをしましょう。

奥の部屋に救急箱があるの。

ね、行きましょう」