大人のいない世界

「たっ、助けなきゃ!」


私は飛び出そうとしたが、福也君にそれを阻止される。


「やめろ。

今出れば、確実に杏奈は殺される」

「でもっ、このままだとっ………………」


そのとき。


ぐちゃっという、耳障りな音が響く。


「あああ………ああぁあ…………………!!」


呻き声を上げながら倒れる新太君の胸からは、大量の血が流れている。

そして、その新太君の目の前には、右手を真っ赤に染めて、満足そうに微笑んでいるおにいちゃんの姿。


おにいちゃんは、新太君の胸に、手を突っ込んだのだ。


「きゃっ……」


その光景に思わず大きな悲鳴が出そうになったのを、福也君が私の口を塞いで防いでくれた。