そのとき、管理室の扉が開いた。

鈴ちゃんだ。


「頼まれてたもの、持ってきたわよ」


そう言って、鈴ちゃんは私にあるものを投げた。

私はそれをなんとか受け取る。


「なんだそれ?」


福也君が不思議そうに私の腕の中にあるそれを、覗きこむ。


「ノートだよ」

「ノート?

でも、作戦用のノートなら、ここにたくさん置いてあるだろ?」

「作戦用じゃなくて、これは日記にするの」

「日記?」

「うん、日記書くの。

実は、前まではあんまりだったけど、最近本を読むのが好きになったんだ。

それで、できれば書くほうも………って思ったんだけど、私、頭の中がまだ小学六年生のままだから、あまり凝った話も書けないし……。

だけど、日記ならいけると思ったんだ」