大好きだったおにいちゃん。

だけど、おにいちゃんはみんなを殺していた。


おにいちゃんがこの世界から大人を全員消した日から、気付くべきだった。

おにいちゃんは、おかしいって。


それなのに、ずっと大人に支配されていた私達は、おにいちゃんはヒーローだと、私達はずっと思い続けていた。


だけど違った。


おにいちゃんは、ヒーローなんかじゃない。


大人ならばどんな人だろうと殺す、恐ろしい殺人鬼だ。


「どうして逃げるんだ、杏奈。

君も、大人に苦しめられる辛さを知っているだろう?

だから、大人しく殺されてくれよ、子どものために」


おにいちゃんが、追いかけてくる。

殺されたくない一心で、私は走る。


しかし、不幸にも地面には大きな石があり、私はそれに躓き、転んでしまった。


やばい。

このままだと殺される。