大人のいない世界



じりじりと、おにいちゃんが詰め寄ってくる。




殺される。


このままじゃ、殺される。


おにいちゃんに、殺される。




一瞬でそのことを察した私は、その場から離れ、走って逃げる。



嫌だ、死にたくない!

みんなのように、殺されたくない!



生きてやる!

生きて、大人になって、おばあちゃんになってから死んでやる!


だから、今は死ねない、死んでたまるものか!


「は、はっ、はっ、は………………………!」


寒くて暗い森の中で、私は必死に足を動かす。

ときどき気の根っこに足を躓いて転んでしまうが、それでも立ち上がって、私は走る。