大人のいない世界

「どうして、どうしてこんなひどいことをしたの!?」


私は腐ったナナの手を握り締めて、おにいちゃんに向かって叫ぶ。


「最近………翔と舞衣が僕の家を尋ねてきたんだ」


おにいちゃんは、突然何の関係もない話をする。

下を向いたおにいちゃんの顔が、どんな表情をしているのか、よくわからない。



「舞衣はひどく泣いていて、翔はとてもひどい怪我をしていた。

何があったのって聞いたんだ、二人に。


だけど、二人は何かに怯えているようで、何も答えてくれなかった。



杏奈、お前は二人を家から追い出すだけではなく、翔に暴力を振るったんじゃないのか?


二人に、必要以上にひどいことをしたんじゃないのか?



こういうことをするから、大人はダメなんだ。

大人は殺す。

全員、殺す。


殺す、殺す、殺す、殺さないといけない、殺さなくちゃいけない。

殺さなきゃ、殺さなきゃ……………殺す。

お前も、殺す。


お前も、子どもを苦しめる大人なんだ、悪魔なんだ。

殺す、殺す、殺す…………………」