大人のいない世界

「うん。

この前、図書館に行ったときのことなんだけどね、すごく面白い本を見つけたの。

『友情』ってタイトルなんだけどね…最初はこんな難しそうな小説、もう読む前から面倒臭いなあって思っていたんだけど、

それが今まで読んだ本の中で一番面白くてね。


だけど、この世界…子どもだけの世界だと、本なんて、もう一生つくれないじゃない?

でも、大人の世界なら、新しい本はたくさんつくれると思って…だから、大人の世界へ行くのは、翔と舞衣に会えなくなって寂しい気もするけど、

どこかわくわくしているんだ」


私の話を聞いたおにいちゃんは、


「そっか」


と、優しく微笑んだ。