大人のいない世界

音のするほうに向かって、後退りをしながら私は声を発する。

あれ?でもこれって……。

なんだか、前にも同じようなことがあったような……。


「もしかして……広汰…おにいちゃ…ん?」


私が彼の名前を呟くと、


「そうだよ、杏奈。

よくわかったな」


と、広汰おにいちゃんが木の陰から出てきて、いつものように優しい笑顔を見せる。


「どうして、またここにいるんだ、杏奈」

「実は……翔と舞衣を捜していて…迷子になったの」


私は恥ずかしくて、手で鼻を擦って、その感情を隠した。


「翔と舞衣を?ということは、翔と舞衣も迷子に?」