大人のいない世界

図書館からの帰り道。

私はずっと、考え事をしていた。

鈴ちゃんのことだ。


さっきの鈴ちゃんも変だったけど……そういえば、昨日の夜の鈴ちゃんも変だった気がする。

確か、大人の世界がどうとか言っていたような…。



そのことも聞きたかったけれど、どうせ聞いても鈴ちゃんのことだから、

「昨日の夜?なんのこと?寝ぼけてたんじゃないの?」

とまた嫌味を言われそうだな…。


家に着き、中に入る。


昨日帰らなかっただけなのに、すごく懐かしい気持ちになる。

お父さんもお母さんも、翔も舞衣もいない、私だけの家。


これが、大人がいた世界だったら、違っていたんじゃないの?

私は独りじゃなくて、お父さんとお母さんに縛られてはいても、淋しい思いなんてせずに過ごせていたんじゃないの?