「ねえ、もうすぐ…よね」

本を閉じて、鈴ちゃんが私に問い掛ける。


「え?」


もうすぐ、って??


「…ほんとに鈍感よね。

誕生日よ、誕生日」

「誕生日って…誰の?」

「アンタのよ、アンタの誕生日。

それ以外、何があるのよ」


鈴ちゃんにそう言われて、私は驚きのあまり、目を見開いて口をぽかんと開ける。


「…なによ、その間抜けな顔は」

「え、いや……。

私なんかの誕生日を、鈴ちゃんが覚えていてくれたんだなって……。

なんか、驚いちゃって」

「覚えていて都合の悪いことでも?」

「いやっ、そういうわけじゃ……」