大人のいない世界

だけど、子どもだけの世界ではもう、このような本はつくれない。

大人がいないと、本はつくれない。


「大人の世界……」


前は、翔と舞衣のことが心配で、あまり大人の世界に興味がなかった私。

だけど、二人の心配をしなくてよくなった今では、私は大人の世界に行ってみたい、という気が起きた。


「家……帰るの面倒臭いな」


家に帰っても、どうせ私の帰りを待っている人なんていない。

なので、私はそのまま絵本コーナーの隅にあった毛布に包まって、そのまま図書館の床で横になる。


静かな足音が、こちらに近づいてくる。


さっき、図書館には私と鈴ちゃんしかいなかったから…おそらく、鈴ちゃんの足音だろう。


「大人の世界、ね…………」


私を見下ろして、鈴ちゃんが言う。