大人のいない世界

「なにか、もっと簡単な本はないかな」


私がぼそっと小さく呟いただけで、鈴ちゃんがキッと睨みつける。


静かにしろ、という意味だろう。

でも、私はそんなに大きな声で言ったつもりはないし、そんなに、迷惑になるほどうるさい独り言でもなかったと思う。

それなのに、いちいち睨みつけてくるということは、やはりそれだけ鈴ちゃんは私のことが嫌いなのだろう。

特に、鈴ちゃんに対して悪いことをした覚えはないからきっと、何となく私のことが気に入らないだけだ。


私は、鈴ちゃんのことに関しては、何も悪くない。


翔や舞衣に関してだって...そうだよ。

私は悪くない。

あの子達がわがまますぎたんだ。

私に非はない。

翔に暴力をふるったのは、可哀想だったかなと思うけれど、悪いことだとは思っていない。


あれくらいしないと、きっとあいつらは出ていかなかっただろうし。


そう、悪くない。

私は、正しいんだ。