大人のいない世界

ふと、台所のシンクを見ると、そこにはお昼の洗い物がまだ残っている。


「……ねえ。

私、お昼にちゃんとお皿洗っておいてって、二人に言ったよね?

なんで、洗い物まだしてないの?」

「えと、ばんごはんのぶんのお皿と、いっしょにまとめてしようっかなーって・・・」


翔が、たどたどしい口調で言う。

嘘だ。

これは、ただの言い訳。

本当は、面倒臭かっただけ。

面倒臭くて、洗い物をしなかっただけ。


私は、毎日やっているのに。

朝も、昼も、晩も、全部しているのに。

洗濯だって、毎日…。

お風呂掃除だって、家事は全部、ぜーんぶ私。


私は、大人じゃないのに。

私は、こいつらのお母さんじゃないのに。