広汰おにいちゃんに家まで送ってもらったときには、もう朝だった。
夜、ナナを大人の世界へ連れて行った広汰おにいちゃんを追いかけていたせいで全く眠っていなかった私は、
家に着いて、すぐソファで眠った。
特に夢とかは見なかった。
「………ちゃん!」
「おねえちゃん!」
翔と舞衣の私を呼びかける声で、私は目を覚ました。
時計を見るとまだお昼ごろ。
もっと眠っていたかったのに…………。
「おねえちゃん、おなか空いた!」
翔が、お腹を擦りながら言う。
「なにかつくってよ!」
と舞衣。
「ナナおねえちゃんも家に帰っちゃったみたいで、ごはんつくってくれる人がいなかったんだよ!
杏奈おねえちゃんもさっきまでお出かけしてたみたいだし…。
ぼくたち、朝からなにも食べてないんだよ」
翔が、さっきよりもお腹を激しく擦りながら言った。