大人のいない世界

いつの間にか、深い森に入っていた。


ナナを抱えたあいつの姿を、見失ってしまった。


「はぁ……はぁ………」


無我夢中であいつを追いかけていたから、今自分がどこにいるのかわからない。

だけどわかることは、ここは私が知らない場所で、ここはすごく深い森ってことだけ。


冷たい空気とざわざわという風の音が、私の恐怖心を煽る。


どこ……ここ………。

怖いよ………。

助けて、誰か……誰か…………。


「広汰おにいちゃん…………」


私は、無意識のうちにおにいちゃんの名前を呟いていた。


助けて、おにいちゃん。

怖い、怖いよ……。