大人のいない世界

鈴ちゃんは、図書館へ行き、私とナナと広汰おにいちゃんは、公園から場所を変えて、誰もいないさびれたビルへ。


ここなら、誰にも話を聞かれずに済むと思ったからだ。


「それで、杏奈、ナナ。

これはいったいどういうことだ?

翔と舞衣が言っていた“あっちの世界”というのは、僕が以前君達に話した大人の世界のことだろう?

どうして、あの二人がそのことを知っているんだ?」


おにいちゃんが、私達にたずねる。

珍しく、おにいちゃんが怒っている。

普段は優しいおにいちゃんの目が、まるでナイフみたいに鋭くて、見ているだけで怖い。


「わ、私が悪いの………。

私が、つい大人の世界のことを二人の前で喋りそうになって………」


ナナが言う。


「私だって。

ナナが口を滑らせそうになったのをとめたけど、もっと早くとめていれば、こんなことには…………」