大人のいない世界

そう、大人の世界のことは、私とナナと、鈴ちゃんと、そして広汰おにいちゃんしか知らないこと。

他の子ども達に知られてはならない。

守らなきゃいけない、約束。


あのときした約束を、ナナはすっかり忘れてしまっていたのだ。


だけど、私が注意したことで、ナナはそのことをようやく思い出してくれたみたい。


「ナナおねえちゃん?」


自分の質問に答えてくれないナナに対して首を傾げる翔。


「ねえ、なんなの?あっちのせかいって」

舞衣も、興味津々にナナにたずねる。


「えっと、なんでもないや。あはははは。

今のは忘れて」


そう言ってナナは誤魔化したけれど、翔と舞衣は納得のいかない顔をしていた。


ば、バレてないよね……?大人の世界のこと。

もしバレたら……おにいちゃんきっと怒るだろうな。

今回はナナが口を滑らせそうになったけれど、いつか私もうっかり大人の世界のことを翔や舞衣に言ってしまうかもしれない。


なるべく、大人の世界のことは考えないようにしよう。