大人のいない世界

でもいっか。

ナナが無事だったんだ。

そのことに安心するに越したことはない。


「ん…………」


「ん?」


むにゃむにゃと、ナナが寝ながら何か言っている。


「……ん………蓮……」


“蓮”


確かに、はっきりそう聞こえた。


蓮君の夢でも見ているのだろうか。

ナナってば、どれだけ蓮君のことが好きなのよ。


……でも、それほど蓮君のことが好きだっていうことだよね。

ナナは蓮君に会いたいっていつも言っているし、きっと蓮君のほうもナナに会いたいに違いない。


「早く、大人の世界からのお迎えが来るといいね」


私は、寝ているナナにそう言った。